日本基督教団御殿場教会  United Church of Christ in Japan Gotenba church

私は門である

説教

タイトル :「私は門である
聖書   : ヨハネ10:1-10   
年月日  : 2017-9-3

イスラエルは今でも、荒野の中、羊を連れて歩く羊飼いの姿が見られます。羊は
人々にとって大切な生活の糧です。そのため夜は町にある囲いの中に羊を入れて、
門を閉めて羊を守ります。この門から入らないで、他の所から入りこんでくる者は、
大切な羊を狙って、食いものにするドロボウであり、強盗です。
一方、朝になると、門番は羊飼いのために門を開きます。羊飼いは門から入って、
羊たちがいる所に行き、羊たちの名前を呼びかけます。すると、羊たちは羊飼いの
声を聴いて喜んで、囲の中から出てきます。羊たちは、羊飼いの声をちゃんと聞き
分けることが出来るのです。
 囲いから出された羊たちは、先頭にいる羊飼いの後に安心してついて行きます。
羊飼いの後についていけば、おいしい草を食べて、水を飲む場所へ、安全に連れて
行ってもらえることを知っているからです。羊たちは羊飼いには従順ですが、でも
知らない人が羊たちを呼んでも、羊は決してついて行きません。無理やり、連れて
行こうとすると、羊たちは一斉に逃げ出します。自分たちを養ってくれる羊飼いの
声とは違うことを、羊たちは分かっているからです。
 6節を見ると、これは、イエス様がファリサイ派の人たちに語った例え話だった
ことが分かります。でもファリサイ派の人たちは、例え話がどういう意味なのか、
理解できません。でもこれは「この例え話が理解できなかった」だけではなくて、
イエス様が語るどんな言葉も、彼らには通じなかったと言うことです。
福音書で描かれているイエス様と、その周りにいる人々を思い出してください。
イエス様の言葉を聴こうと、いつもイエス様の周りに集まっていたのは、無学な人、
貧しく弱い人、何も自分に誇れるものを持てない人、そういう人たちでした。
ファリサイ派のようにユダヤ教の律法や儀式をきちんと守る自分の信仰生活に、
満足している人たちにはイエス様の言葉は届きません。彼らは自己完結していた
からです。聖書のこと、神様の教え、すべて知っている。もはや新しく学ぶ必要は
ない。だからイエス様の言葉に聞かず、従うこともなく、むしろ拒みます。彼らの
メンツ、自信、誇りが、イエス様に聞き従うことをジャマします。「最近、イエスと
いう男の言葉に、貧しい連中が惑わされている。自分たちこそ正しい信仰を教えて
いるのに」。ファリサイ派のつぶやきが聞こえてくるようです。でも多くの羊たちは、
ファリサイ派の人たちの声ではなく、イエス様の声を聞き、イエス様の後について
行きます。その現実は、イエス様を拒む人たちの憎しみを、激しくしたはずです。
 7節以下で、イエス様は「私は羊の門である」「私は門である」と言っています。
そして「私より先に来たものは皆、ドロボウや強盗だけど、羊は彼らの言うことを
聞かなかった」と言っています。「イエス様より先に来た者」と言っても、ヨハネや
モーセなどの預言者のことではありません。ファリサイ派や律法学者、祭司など、
ユダヤ教指導者たちのことです。
彼らはユダヤ教の伝統的な権威を形だけ守って、人々にも押しつけていましたが、
ほとんどの人々がついて行けません。そして落ちこぼれた人々を彼らは見下して、
最後は見捨てます。だから羊たちは、彼らの言葉には聞き従えませんでした。
 でもイエス様は、羊が出入りするための門であり、更に「私を通って入る
者は救われる。その人は、門を出入りして牧草を見つける」と言っています
(9節)。
 本物の羊飼いは、門から入って羊たちを連れ出して、牧場に導いて羊の命を守り
養います。羊飼いは、どの羊も落ちこぼれにしません。そしてイエス様はご自分を
「羊たちが出入りするための門だ」と言っています。
 イエス様は神様から遣わされた方ですから、イエス様だけが、神様に帰る
道を知っています。そして羊たちが門を通るように、イエス様を通って行く
者だけが、神様のもとに導かれ、神様の牧場で牧草を見つけて命を養われる
のです。
 「イエス様と言う門を通って行く」。イメージしにくいでしょうか。「イエス様と
言う入口から入って行く」と言い直したら、お分かりいただけるでしょうか。
 教会に来るきっかけは、それぞれですが、救いを求めて来られた方も多いと思い
ます。でも大切なのは、「救いを求めて、どの入口から入って行くのか」「どの
門から入って行くのか」と言うことです。
ある人は、救いを求めて、この世の富や権力、名声と言う門から入って行きます。
ある人は、自分の趣味や仕事を極めるという門から入って行きます。「自分が選んだ
のだから、何が悪い。文句があるか」。いいえ、何の文句もありません。ただ残念な
ことにイエス様以外の門から入っても、神様が与えてくださる本物の救い、
本物の満足、本物の命の平和は、決して得られないと言うことです。
 この世の富や力、名声、あるいは自分が好きな趣味や仕事と言う門、また入口は、
どんなに自分を熱中させ、魅力的で楽しくても、突きつめて行くと、それはすべて、
「自分と言う門、自分と言う入口」。あるいは「エゴの門、エゴの入口」に
過ぎない。
イエス様を無視して、イエス様以外の門や入口から入っても、すべてが「自分と
言うエゴの門や入口」なのです。「自分と言う限界ある入口や門」から入り、救いを
求めても、決して救いにはたどり着けない。溺れる者が自分で自分を救えないのと
同じです。それらはすべて、人が勝手に思い描いた空しい「バベルの塔」です。
 「自分たちは立派なユダヤ教指導者」「自分こそが正しい信仰者」と思い込んで、
イエス様の言葉に聴かないで、イエス様を拒み続けたユダヤ人たちは、エゴという
レンガを積み上げて、バベルの塔を造り、天に登ろうとしていたのです。
 でも「私は道であり、真理であり、命である。私を通らなければ、誰も父のもと
に行くことが出来ない」(ヨハネ14:6)と言う言葉の通り、イエス様と言う門を通ら
なければ、誰も神様のもとには行けないし、神様の救いに入ることはできません。
イエス様だけが人々を神様に導く唯一人の救い主であり、イエス様だけが
「神様に届く救いの門」です。イエス様の門を通って入って行くなら、その
人は神様と出会って、神様から本当の生き方を聴きとり、豊かな命の救いを
受け取り、救われます。これが、聖書が証している真実です。
この世には、私達の心をひきつける楽しく、魅力的なものがたくさんあります。
また「私こそが、あなたを豊かに出来る」と耳触りの良い言葉やカリスマ的な力で
誘う者もいます。でもそれらは皆、「イエス様と言う門」そして「神様」から私達を
引き離して、私達の命を滅ぼす強盗です。そこには、必ず人の欲を満たそうとする
「むさぼり」が隠れています。そんな誘惑にひっかからないよう、常にイエス様が
「神様から命を豊かに受けるため、私の門から入りなさい」と私達を招いておられ
ます。それでは、イエス様の門はどこにあるのか。教会が、イエス様の門です。
 父と兄をだまして祝福を受け取ったヤコブが、荒野で寝ていた時、神様が「私は
あなたと共にいる。あなたを守り、あなたを見捨てない」と語った言葉を聴いて、
「ここは神の家、天の門だ」とヤコブは言いました(創世記28:17)。
この世は苦難の多い荒野です。でも荒野の只中に、天の門が開かれていたように、
私達が生きているこの世の只中にも、天に通じるイエス様の門、教会があります。
教会は、イエス様の体であり、天と地を一つに結んでいる天の門です。この
世に立つ教会は、イエス様の体であり、神の国に通じている、唯一の天の門
です。
 すべての人の罪の赦しのために、十字架で命を献げてくださったイエス様の体。
また死の中から、永遠の命と共に復活されたイエス様の栄光の体。このイエス様の
体が、生き生きと働いているのが、教会です。
そして「教会と言うイエス様の門、神の国に届く天の門」は、この世に向かって
開かれています。誰でもこの門から入って良い。イエス様の門から入る度に、人は
イエス様の体を着せていただきます。何度でもイエス様の体を重ね着させてもらい
ながら、羊飼いの声を聞き分ける羊のように、私達はイエス様の声を聞き分ける者、
イエス様の赦しの言葉、愛の言葉、命の言葉を体に宿す者、イエス様に属する者、
イエス様に似た者へと導かれ、だんだん育てられていきます。
 毎朝、羊飼いが門を通って羊を牧場に連れて行くように、私達もイエス様の体を
通って、この世に出て行きます。その時、私達の先頭にいるのは、イエス様です。
私達は教会の一部、イエス様の体の一部だから、イエス様は私達から決して
離れない。この世がどんなに私達を苦しめても、先頭のイエス様が私達を導いて、
1日の終わりに、必ずイエス様の門を通って、神様の囲いの中に私達を連れ戻して、
食べさせ、飲ませ、休ませてくださいます。例えこの世の苦難に倒れても、イエス
様が倒れた1人1人を背負ってくださる。そして私達を背負ったまま、イエス様の
門、教会に連れ帰ってくださいます。これが私達の信仰生活、信仰の生涯です。
この世で、イエス様の門をくりかえし出入りする私達は、イエス様の声を
正しく聞き分けて従って行きます。そしてついにはイエス様に導かれ、天の
門を通って、神の国に凱旋し、神様から永遠の命で生かされる「幸いな者」
とされるのです。

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