日本基督教団御殿場教会  United Church of Christ in Japan Gotenba church

神が清めたもの

説教

タイトル :「神が清めたもの
聖書   : 使徒言行録10:6-19
年月日  : 2014-12-21
特記事項 : クリスマス礼拝  
 今日は、イエス様の誕生を祝うクリスマスですが、今お読みした使徒言行録には、
イエス様が十字架の死から復活して、天に昇られた後、弟子達がイエス様の救いを
世界中に宣べ伝えている様子が書かれています。
 イエス様の弟子の1人ペトロが地中海沿いの町ヤッファに寝泊りしていました。
そこに3人の人がペトロを訪ねてくることが、最初に書かれています。ユダヤ人は
外国人を汚れた者として見なして交際はしませんが、天使が外国人であるローマの
百人隊長に「ペトロを招くよう」告げたので、隊長はユダヤ人の習慣を知りつつも、
3人の使者をペトロの元に送ったのです。
 そして昼の12時頃、ペトロは祈るために、屋上にいたのですが、ちょうどお腹が
空いてきたので、何か食べたいなと思い、食事の用意をペトロは頼んだのでしょう。
人々が食事の用意をしていた時、突然ペトロは、夢を見ているような状態になって、
不思議な光景を目にします。
 天が開き、天から巨大な布のようなものが四隅をつるされて、袋のようになって
地上に降りて来ました。その中には様々な獣、地をはうもの、空の鳥が入っており、
「ペトロよ、身を起こして、ほふって食べなさい」と言う声が聞こえました。神様が
ペトロに語りかけたのです。しかしペトロは「主よ、とんでもないことです。清く
ない物、汚れた物は何一つ食べたことがありません」と、すぐに言い返しています。
 ペトロが「清くない物、汚れた物」と言っている所から、巨大な布の袋に入って
いたのは、恐らくラクダやブタ、イノシシ、タヌキ、オオカミなどの動物。ヤモリ、
トカゲ、ヘビ、カメレオンなどの爬虫類。ハゲワシ、ミミヅク、フクロウ、カラス、
などの鳥類だったのでしょう。これらの生き物は、旧約聖書では汚れた物であって、
汚れがうつるので、食べることも、死骸に触れることも、固く禁じられています。
 ユダヤ教徒は、汚れること、汚れたものに触れて、汚れが自分にうつることを、
昔から恐れ、嫌っていました。だから大きな布の袋に入っている汚れた生き物を、
たとえ神様に「食べろ」と言われたって、「はい、そうですか」とは言えません。
神様から「清めてあるから大丈夫」と言われても、それでもペトロは神様の言葉を、
何度もガンコに拒んだようです。
16節「こういうことが3度あり、その入れ物は急に天に引き上げられた」。
結局、最後まで、ペトロは、神様の言葉を拒み、従うことができませんでした。
旧約聖書には、汚れた獣や、地をはうもの、鳥などのほかに、ヒレやウロコのない
魚も汚れた物であって、食べることが禁じられています。つまりトンカツを始め、
うな重、イカやタコのお寿司、エビ天、カニ鍋なども旧約聖書によると汚れている
から、食べられないというわけです。おいしいのに残念ですネェ。
食べ物を清い物と汚れた物に分け、汚れた物は食べないというのは、旧約聖書に
従うユダヤ教徒だけでなく、イスラム教徒も同じです。汚れた物が調味料や出汁と
して入っていたら食べません。でも飢え死にしそうな時でも食べないのでしょうか。
宗教によって、清いものと汚れたものを分けるのは食べ物に限りません。右手は
清くて、左手は汚れている。そう考える人たちもいます。だから食事の時は、清い
右手を使います。宗教が違う人と握手をする時には、右手ではなく、汚れた左手を
出します。でも病気やケガで右手を失った人はどうするのでしょう。自分1人では
食事が出来なくて、いつも誰かに食べさせてもらうのでしょうか。
さて巨大な布袋に入ったたくさんの汚れた物を、神様から「食べろ」と言われて、
拒んだペトロに、神様はハッキリ言っています。
「神が清めた物を、清くないなどと、あなたは言ってはならない」。
神様が霊的に清めておられるのに、それに逆らい「清くない、汚れている」
と自己主張するのは、神様の御業を否定し、神様を冒涜していることになり
ます。ここは「神様の清めを信用していない、信じていないペトロの不信仰」が、
モロに出ている場面です。
 今日はクリスマス礼拝で、イエス様の誕生を記念して、礼拝をお献げしています。
神様の御子イエス様は、マリアから人の姿で誕生しました。それもスーパーマンの
ような体ではなく、切ったら血が出る、私達と同じ弱い生身の体で誕生したので、
イエス様は、寒さ暑さ、飢え渇き、苦しみ痛み、悲しみなどを、私達と同じように
体験しながら人生を歩みました。そしてイエス様の人生の真っすぐ先に待ち構えて
いたのは、十字架の死です。
 イエス様が誕生する前、天使がマリアの婚約者ヨセフに、「マリアのお腹の子供は
聖霊によって宿ったのであり、民を罪から救う」と告げていました(マタイ1:21)。
天使が告げた通り、イエス様は「すべての人の罪の汚れを清めるためのいけにえ」と
なって十字架で献げられます。全人類を代表して、罪の汚れを清めるいけにえ
となるため、そしていけにえとなって十字架で死ぬため、そのためにイエス
様は、私達と同じ体をもつ人の姿で、この世に誕生してくださったのです。
だからイエス様の誕生を祝うクリスマスと、「十字架」は切り離せない。十字架を
抜きにして、十字架を無視したままのクリスマスなど、ありえない。
イエス様が誕生してくださったのは、すべての人の罪がイエス様の十字架
で「完全に清められ、罪のない者、罪赦された新しい者」とされるためです。
天から降りてきた巨大な布の袋の中には、汚れたものがたくさん入っていました。
天から降りてきた巨大な布の袋は、まさにイエス様です。この中にすべての
人が入っています。いえ、神様の造られた世界、丸ごと全部、入っています。
「この人は汚れているからダメ。あの人も清くないからダメ」と決めつけている
自分自身も、傍から見たら「ゲー!」と思われている汚れた者です。ペトロが見た
布の袋の中には、汚れた生き物だけでなくて、実はペトロ自身もいたのです。でも
食べるどころか、とても受け入れられない汚れたものを一つ残らず、イエス様
の体が包みこみ、十字架の血によって、完全に清めてくださいました。
宗教が違う、民族が違う、身分が違う、年齢が違う、性別が違う、家柄が違う、
学歴が違う、趣味が違う、育ちが違う。人には皆、違いがあります。従って私達には
それぞれ思い込みや偏見があり、生まれ育った生活習慣に気づかない内に縛られ、
その不自由で歪んだ狭い「のぞき穴」から物事を見ては判断をしています。しかも
それを正しいと自己主張して、相手が誰であろうと譲ろうとはしません。神様から
「食べなさい」と命じられていても、「汚れているから食べない」と自己主張して、
神様の言葉を突っぱねたペトロもそうです。
人は皆、罪を犯して汚れています。だからイエス様がこの世に誕生してください
ました。そして罪に汚れた人も、世界も、すべてご自分の体に包み込んで十字架の
血で、すべての汚れを清めてくださいました。イエス様が清めてくださったから、
もう誰も汚れていない。汚れた手もない。汚れた生き物もいない。十字架の
血ですべての人、すべての生き物が清められているから、だから神様は「食べなさ
い」とペトロに言ったのです。でもペトロは、神様の言葉が信じられませんでした。
 「神が清めた物を清くないなどと、あなたは言ってはない」。
この神様の言葉は重大です。ペトロに限らず、私達も「汚れている。清くない」
あちこち勝手にレッテルを貼りつけるなら、「イエス様の十字架も、イエス
様が人となって誕生したクリスマスも、全部なかった。起こらなかった」と、
否定することになります。イエス様が人となって誕生して、十字架の祭壇で罪の
汚れを清める完全な献げ物となってくださったことを、私達はすべて否定すること
になります。
 人はイエス様に包まれて、清くされているのに、多くの人がそのことに気づいて
いません。でもイエス様という巨大な布の中に包まれていることに気づいた人は、
イエス様の中で清くされていることを信じ、喜んで、イエス様の一部になります。
そして1人1人の人生が、刺繍糸のように、イエス様の中にしっかり織り込まれ、
縫い込まれて、益々イエス様に密着します。そしてイエス様の中で、自分とは違う
様々な人生と、互いに組み合わされることで、清らかな図柄や色合いが生まれます。
今日、洗礼を受けて、1人の女性が、イエス様の一部になりました。これまでの
「82年の人生」が清くされて、イエス様の中に1針、縫いこまれました。これから
どんな図柄になるか、神様がご存知です。いずれにせよ、その方の人生が1針ごと、
神の国にふさわしくイエス様の中に縫いこまれて、イエス様と益々一体にされます。
私達は皆、イエス様の中で、イエス様の血によって、清くされている者同士です。
互いにイエス様の中で清くされているのに、ペトロのように「「清くない」と互いに
非難しあって、イエス様の十字架とクリスマスを否定するのは、愚かなことです。
すべての人が、イエス様の中で清められていることに気づきますように。そして
すべての人を清くして十字架で死ぬため、この世に誕生してくださったイエス様に、
心から感謝できますように。

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