日本基督教団御殿場教会  United Church of Christ in Japan Gotenba church

生きている者の神

説教

タイトル : 「生きている者の神」 
聖書   : マタイ22:23-33  
年月日  : 2013-4-7
ファリサイ派の人たちと入れ替わるように、サドカイ派と呼ばれる人たちが来て
イエス様に質問をしています。サドカイ派は、神殿を中心とする働きをしており、
ユダヤ教ではいわゆる特権階級でした。彼らは復活を信じません(23節)。復活だけ
でなく、目に見えない天使や霊の存在も否定するという、合理的で現実的な信仰者
です。勿論、聖書を読み、神様を信じていますが、彼らが聖書として権威を認める
のは、モーセ五書(創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記)だけで、後から
出来た預言書や口伝の律法などは、聖書として認めないという保守的な信仰者でも
ありました。同じユダヤ教でも、ファリサイ派とでは信仰の解釈が違うのですが、
でも「イエス様をつぶしたい」という点では、サドカイ派とファリサイ派の思いは
完全に一致していました。
 サドカイ派の質問は、モーセが(申命記25:5-10)「夫が子供を持たずに死んだ場合、
弟が残された兄嫁と結婚して跡継ぎを作り、家系が続くようにしなさい」と言った
聖書にある言葉を引用して、7人兄弟の話を持ち出します。
7人兄弟の長男が妻を迎えますが、子供がないまま死んだので、モーセの言葉に
ならって、次男が兄嫁と結婚します。でも次男も子供がないまま死に、次々と同じ
ことが起きて、ついに7人の兄弟全員が、兄嫁と結婚することになり、最後はその
兄嫁も死んでしまいます。
 「こういう場合、復活したら死んだ女は誰の妻になるのか」と言うのが、彼らの
質問でした。子孫を作って家系を絶やさないためとは言え、当事者の気持ちを無視
した、こんな結婚が古代社会では行なわれていたようです。
 イエス様は、既に弟子達に3度、ご自分の十字架の死と復活について告げていま
したし、イエス様が復活を信じていることも、サドカイ派の人たちは、知っていた
はずです。そこで、7人の兄弟と結婚した女は、復活した時、誰の妻となるのかと、
サドカイ派は、イエス様に質問をしたわけです。勿論、イエス様が何を言おうと、
復活を信じるつもりなど毛頭ありません。聖書にあるモーセの言葉を使い、復活に
ついて語るイエス様を頭ごなしに批判して「愚かなことを言うヤツ」と、イエス様を
あざ笑うために質問したのです。
 彼らの魂胆を見抜いておられるイエス様は、「あなたたちは聖書も、神の力も知ら
ないから、思い違いをしている」とキッパリ言い切ります。「思い違いをする」とは
「脇道に外れる」と言う意味です。幼い時から聖書や神様について熱心に研究して
きたことを誇るサドカイ派の人たちに、イエス様は「あなたたちは聖書も神様の力も
知らないから、正しい信仰の道から外れて迷子になっている」と言ったわけです。
イエス様の言葉に、さっと、顔色が変わった彼らの姿が目に浮かびます。
 そしてイエス様は復活について、「復活する時には結婚もなく、天使のようになる」
と単刀直入にいいます。復活は、「地上の生活が天においても続く」ということでは
ありません。地上で生きている私と言う存在は、復活しても私であることは変わり
ませんが、復活の時、地上の私とは、姿も中身も全く別の私に変えられます。
地上での命を終えて復活したら、もはやチリから造られた者、朽ちて消えて行く
者ではなくなり「神様の永遠の命に留まって生きる者」とされます。そのため
永遠の命に耐えられる「新しい体」、復活のイエス様が弟子達と出会った時
の「栄光の体」と同じ体が、与えられます。イエス様は、復活した時の「永遠
の命と新しい体」をまとった栄光の姿を指して、「天使のようになる」と言われたの
です。サドカイ派の人たちは、復活も天使の存在も認めていませんが、そのことを
知った上で、イエス様は「復活する時、天使のようになる」と言います。
でも復活は正確に言うと、復活のイエス様と同じ栄光の姿に変えられて、完全に
イエス様と同じ神様の子供となって、永遠に神様と生きる者にされることですから、
実際は、「天使以上の者にされる」ことだと言えます。
ですから復活して永遠の命を宿した者は、神様の前で互いに、神様の子供として
再会しますが、家系を絶やさないようにと、跡継ぎを作るために結婚することは、
もはや必要ありません。しかしあえて言うならば、復活した者は男も女もすべて、
復活の主イエス・キリストの花嫁です。復活の主が永遠の配偶者、永遠のパート
ナーとなられて、「神様の家族」と言う聖なる家系を、復活した者すべてに、
受け継がせてくださるのです。
そしてサドカイ派が聖書を引用したように、イエス様も聖書を引用して、聖書の
中に復活の確かさがあることを示しています。
32節「私はアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である」。
これはサドカイ派が、聖書として重んじているモーセ五書の中にある出エジプト
記の言葉です(出エジプト記3:6,15,16)。神様が燃える柴の中からモーセに、ご自分
のことを「私はアブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である」と明かされている
場面です。神様は過去形で「昔、私はアブラハム、イサク、ヤコブの神だった」
とは言っていません。出エジプト記にある神様の言葉は、今も神様がアブラハムや
イサク、ヤコブの神様であり続けていることを証言しています。
 神様は永遠の命の源です。永遠の命の源である神様と結ばれているアブラハムや
イサク、ヤコブが、どうして死んだままでいられるでしょうか。だからイエス様は
「神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神なのだ」と言われたのです。
 このイエス様の言葉は、神様が死んだ者にそっぽを向いて、地上で生きている者
だけを相手にすると言うことではありません。そうではなく「地上の命を終えても
命の源である神様と結ばれた者は、アブラハムたちと同様、死んだままでは
いられない、死に続けることは不可能だ」といっているのです。
 神様は永遠の命の源であり、永遠に生きておられる方、「永遠にある」お方です。
従って、この神様を信じて、神様につながる者は誰であろうと、死んでも生きます。
地上の命を終えたら、今度は永遠の命で、その人は神様と共に生きていきます。
 永遠に生きておられる神様と結ばれ、神様の命の中に招き入れられた者は、永遠
の命で生き続け、2度と死ぬことはありません。だからイエス様が言われたように
「神は死んだ者の神ではなく、生きている者の神」なのです。
神様が永遠にあるお方で、永遠に生きておられるから、神様を信じて神様
の中に招き入れられた者は、死んでも生きる者となります。死んでも、神様
の力によって永遠に生きることが出来る。これが復活です。
 サドカイ派は、復活を否定していましたが、復活の否定は、神様が「永遠にある」
お方であり、神様が永遠に生きておられること、また死の中からでも、新たな命
を創造することができる神様の全能を、否定することになります。さらに、
チリに過ぎない者に、ご自分と同じ永遠の命を与えてくださる神様の大いな
る愛も、否定することになります。サドカイ派は、聖書に精通していましたが、
自分の理性に頼り、復活を否定することで、神様の力を侮って、神様を冒涜してし
まうのです。
 目に見えない天使や、理性ではつかめない死者の復活を否定していたサドカイ派
の物の見方は、今日にも通じる所があります。死者の復活など、いくら言葉で説明
しても、理解してもらえないどころか、世間から「要注意のレッテル」を貼られて
しまいます。でもそういう世間は、自分の人生に満足しているのでしょうか。
 今月から祈祷会で「コヘレトの言葉」を読み始めたのですが、全編「空しい」と
言う言葉が満載です。「努力しても何の益になるのか。結局、死ぬだけだ。空しい」。
コヘレトが言った「生きることの空しさ」が、今でも変わることのない世間の本音
ではないでしょうか。でもこの空しさを逆転させるのが、イエス様の復活です。
生きている者の神様」は、イエス様を復活させたように、決して空しく
ならない復活の命で、人を永遠に生かすことが出来ます。たとえ忘れ去られた
屍者でも、神様は復活させて、決して忘れ去られない者へと、新しく生かすことが
出来ます。
「どうか私の空しさを取り除いてください」と「永遠にあるお方」に救いを求める
人を、神様は拒みません。その人に復活のイエス様が近づいて来て、「私を信じて、
私につながっていなさい」と、救いの御手を差し伸べます。このイエス様を信じて、
イエス様につながる時、人は皆「空しい者」ではなくて、永遠である神様の前に、
復活の希望をもって生かされます。「永遠にあるお方」から、神様の子供と
して深く愛され、復活の命を喜び生きて、「永遠に存在する者」とされます。
私達の生涯には、口では言い尽くせないほどの労苦や挫折、恥や憤りがあります。
でも神様は、私達のすべてを知り尽くしておられます。死の中からイエス様を復活
させた神様は、労苦や挫折、恥や憤りなどを抱えて生きる私達を、空しいままでは
終らせません。どんな空しいものであれ、それを復活のイエス様と出会う糧とし、
復活のイエス様と共に生きていく中で、大きな恵みに変えてくださいます。
なぜなら、私達の神様は、生きている者にどこまでも寄り添って、味方と
なられる神様だからです。

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