日本基督教団御殿場教会  United Church of Christ in Japan Gotenba church

喜び、祈り、感謝

説教

タイトル:喜び、祈り、感謝
聖書  :(1)テサロニケ5:12-18   
年月日 :2009.09.06
特記事項:

 パウロがテサロニケ教会に送った手紙の結びの部分です。パウロは、手紙を書き終えるに当たって、念を押しておきたいことが次々と浮かんできたようです。
 まずパウロがテサロニケ教会に願ったことは、教会を導き戒めるために労苦している人々を重んじ、愛をもって心から尊敬して欲しいということです。
テサロニケ教会は生まれて間もない教会ですが、厳しい迫害の中でも教会は立ち続け、成長しようとしています。当時は監督、教師、長老と言った教会の役割が、完全に出来上がっていたわけではありませんが、教会のために、身も心も献げて、仕える人たちがいました。
彼らはパウロが教会を去った後も、主に結ばれた一員として正しい福音を守って伝道し、教会の人たちを牧会していました。「そういう働き人を重んじ、尊敬して欲しい」とパウロは言っています。
「重んじる」と訳された言葉、この言葉の本来の意味は「知る、理解する、認める」と言うことです。教会の信仰を守るために、人知れず闘っていること。一人一人の信仰のために心を配っていること。教会全体が互いに励ましあう群れになるよう、絶えず教会を導き戒めていること。こうした働きを理解し認めることは、おのずと働き人を重んじることにつながります。また「心から尊敬しなさい」は直訳すると「高く評価しなさい」と言うことです。
すなわち、「働き人が自分の好みに合うか合わないか」ではなくて、「その働きがキリストに忠実ならば、その働きを理解し認めて、働き人を重んじなさい。実際、そのように働いているのだから、その働きのゆえに、こきおろすのではなくて高く評価しなさい。そして働き人を、愛をもって尊敬しなさい」と言っているのです。
数ヶ月前の『信徒の友』に聖書学者・荒井献氏の文章が載っていました。荒井氏は若い時、牧師になりたいと父親に告げましたが、父親は「牧師を支える信徒になれ」と言ったそうです。とても深い言葉です。信徒に支えられて牧師は育つからです。
「働き人を尊敬する」とは、「働き人を王様に祭り上げる」ことではありません。「働き人の労苦に無関心にならないで、その働きを愛をもって支える」ことです。
今年度は東静分区の各地で牧師就任式が行われ、そのたび牧師と教会員の誓約を聞きました。教会員の誓約は牧師の誓約より倍も長いのですが、その中で教会員にこのような問いがされます。「どんなことでも愛と和らぎをもって行い、ことごとに相慰め、励まし、支えて、牧師にその職を全うさせることを約束しますか」。
教会員の誓約で求められていることは、パウロが言いたかったことと重なります。でもなぜパウロは手紙の結びで、働き人を重んじるよう、念を押したのでしょうか。
それは13節の最後の言葉、「互いに平和に過しなさい」に、理由があります。
教会を導こうとする働き人を認めないで、対立したり、分裂していたら、教会は福音を語れません。キリストの愛と赦しを語れません。教会に平和がなかったら、教会はたちまち伝道ができなくなります。
テサロニケ教会は迫害と言う困難の中で、これからも伝道しようとしています。そのためには、教会の平和と一致がどうしても必要です。だからパウロは「教会の平和と一致が保つためにも、まず働き人を重んじて、その働きを教会全体で、愛をもって支えて欲しい」と願ったのです。
 しかし働き人との関係だけではありません。テサロニケ教会の平和と一致のため、教会員のお互いの交わりについても、パウロは勧告しています。14節以下です。
 「怠けている者たち」とは、「秩序を乱したり、放縦にふける人たち」のことです。こういう厄介な人は切り捨ててしまう方が簡単です。でも彼らを見放すのではなく、信仰者として共に歩めるよう、心を込めて彼らを導くことが求められています。
テサロニケ教会には、迫害を恐れ、弱気になってしまった人、仲間の死によって主の日の希望が揺らぎ、不安になった人がいたようです。そこでパウロは「気落ちした者をそのままにしておかないで、彼らが信じる希望をもって再び立ち上がれるよう、慰め、励ましなさい」と言っています。
 「弱い者」とは、信仰の弱さだけでなく、体の弱さ、心の弱さを抱える人たちも含まれます。弱い人たちも、大切な教会の一員としてキリストから召されています。
だから弱さを見下したり、軽蔑するのではなく、弱さを共に担い、助け合うことが大切です。11節で「お互いの向上に心がけなさい」と言っていたように、自分だけが強くなるのではなくて、弱い人たちも強くされるように守り、支えていくのです。 
そしてさらにパウロは、「すべての人に対して忍耐強く接しなさい」と言います。
私達はせっかちです。早く成果が出ることを求めます。でも自分の思い通りに人が変わるわけではありません。自分のものさしで人を判断するのではなく、神が御心のままに変えてくださることを信じる希望の中で、人と接して行くのです。この時、人を甘やかしているのではなくて、教会の忍耐強さが問われています。
 パウロはコリント書で神の愛について語っていますが、その中で最初に出てくるのが「愛は忍耐強い」であり、最後は「すべてに耐える」でしめくくっています。
 「愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、高ぶらない。礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜ばず、真実を喜ぶ。すべてを忍び、すべてを信じ、すべてを望み、すべてに耐える」                      
(1コリント書13:4-7)
 私達は信仰者であっても神を忘れて、人をねたんだり、うらんだりします。そうやって神の顔にドロを塗ります。私達は何度でも平気で神を裏切ります。普通なら神に憎まれ、見捨てられて、おしまいです。それなのに神は「お前と縁を切る」とは言いません。それどころか、神は私達を憎まず、恨まず、私達をあきらめません。
私達を神のもの、神の家族とするために、どこまでも追い求めてくださいます。
その証拠に、神は私達をくりかえし礼拝に招いて、命の言葉と命のパンを与えてくださいます。そうやって私達を神の国の糧で満たし、神の国に向かって忍耐強く導いてくださるのです。
私達の悪にビクともせずに、どこまでも忍耐強く、決していらだたず、私達に最善のものを与えてくださるのが、神の愛です。
この忍耐強い神の愛で、すべての教会が愛されています。そして神の愛を受け、神の愛に養われ、神の愛がしみこんでいくから、教会は神の愛に似てきます。
「受けた悪を悪で返すのではなく、すべての人に善を行うよう努める」群れ、忍耐強く愛していく神の愛の群れへと、教会は変えられて行きます。
 15節で「悪で悪に報いるのではなく、いつも善を行え」と言ったパウロの言葉は、「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈れ」(マタイ5:44)と命じたキリストの言葉にその源泉があります。確かにキリストは、そのように弟子達に命じました。しかし誰よりも敵を愛して、迫害する者、ののしる者のために、とりなして祈ったのは、キリストでした。いかなる悪にも悪で返さず、すべての人に最善を尽くしたのは、キリストでした。キリストこそ、神の愛です。キリストこそ、忍耐強い神の愛です。
そして神の愛であるキリストが、教会の平和と一致を支える土台です。パウロが手紙の結びで念を押したかったのは、このことです。
テサロニケ教会は経験も力もない、生まれたばかりの教会です。その上、迫害の苦しみにさらされていました。しかしその教会をキリストが愛して、教会の平和と一致を支えておられます。テサロニケ教会はいつでもキリストの中に、神の愛の中に置かれていました。だからパウロは言います。
16節「いつも喜んでいなさい。絶えず祈りなさい。どんなことにも感謝しなさい。
これこそキリスト・イエスにおいて、神があなたがたに望んでおられることです」
4年前に亡くなった東神大の学長・松永希久夫先生と純子夫人は、一日に一度、互いに「what a wonderful day we have! 僕らは何て素晴らしい日を過しているんだろう」と言い交わすのが習慣でした。これは先生が病に倒れても変わることなく、死を前にしても「僕らは何て素晴らしい日を過しているんだろう」と言ったそうです。
私達はこの世において、何も持ちつつけることは出来ません。すべて消え去って行きます。はかなく無力な私達です。でもそんな私達をキリストは愛してくださり、私達のために復活の命と、神の隣に私達の席を用意してくださいました。
私達はいつでもキリストの中に、神の愛の中にいます。これに勝る恵みはありません。私達は一番素晴らしい宝をいただいています。だから私達はどんな逆境にあっても、たとえ死の床にあっても、喜ぶことができます。キリストの中にいる一人一人を見出すことで、自分のことだけでなく、人のことも喜ぶことが出来ます。愛されている喜びの中で、神から与えられた命や体、家族、隣人、あらゆることを感謝することが出来ます。そして喜びと感謝は、私達を絶えず祈りへと導きます。
 私達は祈りの中でますます神の愛に、キリストの臨在に目覚めて行きます。祈りの中で私達の喜びは深くされ、感謝に満ちて、それが祈りへと私達を駆り立てます。喜びと感謝と祈りは、聖霊の助けによって一つの円につながります。そして私達はますます多くの人たちと共に、喜びと感謝と祈りの円をたどりながら信仰の旅路を進んで行きます。大丈夫です。神がそのことを望んでおられるからです。

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